置き配OKの表示をしても、郵便局がゆうパックを置き配してくれないのは、あなたが民法上の「担保責任を負わない旨の特約」をしないから。
「置き配でお願いします」
「置き配OK」
「荷物は玄関前に置いて行ってください」
と表示しても全然置いて行ってくれませんよね。
再配達の電話するのがめんどくさいし、明日も明後日も何時に帰ってこれるかわからないのに、どうしたらよいのか?
気になったので調べました。
自己紹介
私がこの記事を書きました。
令和4年行政書士試験、記述抜き182点で合格
現在もサラリーマンをしながら、法律の学習をしています。
行政書士ではありません。ただの法律好きなので、この記事の内容に責任は持てませんが自信はあります。
ゆうパックを「置き配」してもらうためには
ゆうパックを置き配してもらうためには、「指定場所配達に関する依頼書」を郵便局に提出しないと、「差出人の指示で置き配できるゆうパック」を除いて、絶対に「置き配」できないシステムになっています。
これを提出しないで「置き配」してい行く配達員は、会社の指示に背いているはずです。
「差出人の指示で置き配できるゆうパック」とは
差出人が「物置に配達」や「ポストに投函」など、配達方法を指図しているものがあるようです。そして、差出人の指図なので、荷物に損害(壊れたり、紛失したり)があった場合「郵便局は責任を負わない」としているのです。
つまり、「差出人の指示で置き配できるゆうパック」とは「無くなっても郵便局が責任を負わないゆうパック」ということです。
ヤマト運輸でも同じです、「EAZY」というサービスで写真付きの置き配サービスをしていますが、差出人は一定の業者に決まっています。それは、ヤマト運輸が荷物への損害(壊れたり、紛失したり)の責任を負わないことに了承した業者ということです。
ヤマト運輸に電話しないでください!
直接メルカリやアマゾンに電話して!ってことですね
指定場所配達の依頼書とは
※2023年11月1日現在、「指定場所配達に関する依頼書」が新様式になっています。
これが「指定場所配達の依頼書」です。どこに荷物を置いて行くのか記入する形になっています。
問題は2枚目の様式にあります。
指定場所配達の依頼書2枚目
問題の2枚目です。何が問題かというと、
「指定場所に郵便物等を配達した後、万一当該郵便物等の亡失等があった場合は、郵便局は損害
賠償を行いません。」と思い切り記載されています。
これが「担保責任を負わない旨の特約」です。
民法上、「損害賠償しないですよ」と事前に約束することを許されています。
この契約を行ったうえで「置き配」をOKしないといけません。あなたはどうしますか?
担保責任を負わない旨の特約をしたうえで、明らかに宅配業者に責任があるとき
「担保責任を負わない旨の特約」をしても、明らかに宅配業者が悪い時は損害賠償を請求することができます。下記をご覧ください、法律ではこのように規定されています。
民法第572条(担保責任を負わない旨の特約)売主は、第560条から前条までの規定の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
(※宅配などは売買契約ではなく、有償寄託契約等になる場合が多いので、直接的には適用されない可能性がありますが、面積を認める判例もあります。)
つまり、「雨が降っていて、この場所に置くと、濡れてしまうことが明らかな場合」や「人の目につきやすく、他人に盗難されることが安易に予想できる場所へ配達した場合」などは、宅配業者に損害を賠償する責任があります。
勝手に置いて行く郵便局・ヤマト運輸・佐川急便について
ゆうパックや宅急便は配達の際に、「直接、受取人に配達する」契約のはずです。その契約の履行証明のために「受け取りのサイン」や「受領印」を必要としているのです。
勝手に置き配していかれた場合、「契約不適合」となり、損害が発生した場合には、宅配会社がその損害を賠償する責任を負います。
何か問題が発生したら強気で対応しましょう。損害賠償対応で負けることは、ほぼ無いと思います。
置き配してくださいと表示し、損害を負わない旨を了承していないとき
ただ単に、玄関前に「置き配OK」を表示し、それを見て配達員が「置き配」を行い、置き配した荷物が無くなっていた場合は、どちらにも過失(悪い点)があるため、難しい問題になると思います。荷物紛失の可能性がある場合は、やめたほうがいいと思います。
基本的には、「損害を負わない旨の特約」を結んでいない宅配業者が負けると思いますが、「過失相殺」と言って受取人のミス(なくなってしまう恐れがあるのに「置き配OK」と表示した)の分だけ損害賠償額が差し引かれる可能性があります。
ほとんどの場合は、事を大きくしたくない宅配業者が折れて、損害賠償に応じると思いますが…
「置き配OK」の表示はリスクを伴います。
【まとめ】「置き配」は宅配業者が責任を負わないシステムになっている
ここまで読んでわかったと思いますが、「置き配」について宅配業者が責任を負うことはありません。
差出業者か、受取人のどちらかの責任で「置き配」は行われるシステムです。
それを理解したうえで「置き配」を申請しましょう。
「安全な置き配場所」を作るのが一番良いと思います。
ちなみに「OKIPPA」だと「申請なし」「玄関表示だけ」で郵便局は置き配してくれるようですよ!
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