初めて聞いた人も多い単語「蓋然性」とは何か?
法律初学者の行政書士試験の勉強をしていると、今までの生活では聞いたことのないような、難しい単語がたくさん出てきます。
その度に、ネットや辞書を引いて確認しているのですが、その中でも難しかった単語「蓋然性」を調べてみたいと思います。
ネットや辞書で調べてみる
まずは普通にネットや辞書で調べてみます。
WIKI
Wikiで「蓋然性」を検索すると、「確率」というページに転送されます。
そして、内容が難しすぎてよくわかりません。
「ウィクショナリー日本語版」では
「事象が発生する、あるいは真である確からしさのこと。」
とされています。
法律用語の他にも「数学用語」としても使われているようです。
Wikiでは理解できませんでした。
Weblio 辞書
Weblio 辞書で「蓋然性」を検索すると
「蓋然性(がいぜんせい)とは、ある物事や事象が実現するか否か、または知識が確実かどうかの度合いのことである。」とある。
また、「蓋然」を
「蓋然とは、必然と偶然の中間に位置する概念」としている。
・私が総理大臣になる可能性はあるが、蓋然性は極めて低い。
・現場検証から、出火原因が放火である蓋然性は高いと言える。
蓋然性の使い方として、上のようなものがあるとしている。
この例文を読むと、蓋然=「そうなる確率」と感じることができますね。
辞書で調べる
蓋然性
物ごとの実際におこる可能性の度合い。
だいたいどんな率でおこうかという割合。
プロビリティ。公算。これを数字であらわしたのが確立
Wikiの言う通り「確率」でした。
類義語はあるのか
蓋然性の類義語としては
確からしさ。見込。確率。可能性。公算。蓋然率。有力さ。見込み。プロバビリティ。
があるようです。
言い換えてみる
類義語の中で一番しっくりくるのが「確からしさ」「確率」「有力さ」だと思います。
そして、
「蓋然性」=「当然にそのようになる確率」
と、言い換えるのと、判例を読む際にすんなりと理解することができます。
行政書士試験で出題される判例にはどのようなものがあるか?
実際に判例を読んでみましょう。
重要判例で「蓋然性」の文言がある判例を二つ紹介します。
よど号ハイジャック新聞記事抹消事件 (昭和58.6.22)
あらすじ
反戦デモに参加し公務執行妨害罪で起訴されたXさん
東京拘置所で買った新聞の「よど号ハイジャック」に関する記事を黒く塗りつぶされた
これは「犯罪の手法」が詳細に記事にされていて、拘置所の治安のための措置だった
しかし、
第十九条 思想及び良心の自由
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由
に反するとして訴訟を起こしたもの
そして、もちろん拘置所に拘留された者にも
閲読の自由は認められます(憲法19条・21条により)
以下判例より
「この制約(新聞記事を塗りつぶすこと)が許されるには、新聞、図書の閲読を許すことによって規律及び秩序が害される一般的、抽象的なおそれがあるというだけでは足りず、被拘禁者の性向、行状、監獄内の管理、保安の状況、新聞の内容その他、具体的事情のもと、その閲読を許すことにより、監獄内の規律及び秩序の維持上放置することのできない程度の障害が発生する、相当の蓋然性があると認められることが必要であり、かつ、その場合においてもこの制約は、障害発生防止のために必要かつ合理的な範囲にとどまるべきものと解するのが相当である」
・拘置所でも閲読の自由は認められる(記事の抹消は許されない)
・(記事を見せることで)当然に障害が発生する確率があるときは認められる(記事を抹消しても良い)
と、覚えましょう。
問題文に「抽象的なおそれがあるだけで、記事を抹消できる」とあれば、答えは×です。
令和2年度の本試験第3問にこの論点がばっちり出ていますので、以後の多肢選択などに出てくる可能性はあります。
泉佐野市民会館事件 (平成7.3.7)
あらすじ
ある過激派の団体が市民会館の使用申請をしたが市がそれを拒否
過激派団体が「憲法二十一条一項の保障する集会の自由」に反するとして、使用拒否処分の取消と国賠による賠償を提訴したもの。
実は市の条例で「公の秩序をみだすおそれがある場合」は拒否できるのだが
地方自治法では「正当な理由がないかぎり、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」となっています。
また、「集会の自由」はとても重要は権利であり、簡単に制限できるものではないことが論点となっています。
以下判例より
「公の秩序をみだすおそれがある場合」の危険性とは…
「単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である」
・基本的に使用不許可はしてはいけない。(集会の自由はとても大切なものだから)
・危険が当然に発生するということだけではなく、明らかに差し迫った危険が具体的に予見されるときは使用不許可をしても良い。
と、覚えましょう。
問題文に「危険な事態を生ずる蓋然性があれば、市民会館の使用の不許可処分をしても良い」とあれば、答えは×です。
よど号ハイジャック新聞記事抹消事件では蓋然性で権利を制限できたが
泉佐野市民会館事件では蓋然性では足りない
とっても難しいと思います。
最近の出題を確認
令和3年の問34 肢①で出題されています。
なんと、民法で出題されています。
訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りる。
この肢は行政書士試験としては多少難しい気がするので、私なら解答しないです。
「蓋然性」について覚えることができましたか?
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