行政書士試験勉強のために、日本郵便が「貨物運送業許可の取り消し処分案」を受け入れ聴聞手続きで反論しなかった事件を見て行政手続法を学ぶ

行政書士基本情報

行政書士試験勉強のために、日本郵便が「貨物運送業許可の取り消し処分案」を受け入れ聴聞手続きで反論しなかった事件を見てみる

行政書士試験合格には行政法が重要なカギになります!

実際の事件を見て行政法を覚えましょう!(いつか本試験に出題されるかもしれません!)

大根おろし
大根おろし

政書士試験勉強の合間に、身近なニュースで行政手続法をおさらいしよう!

令和4年度、法律ド素人から行政書士試験に挑戦し、択一182点で合格しました。

今はまだ会社員ですが、法律とネットで少しずつ副収入を得ながら日々勉強中です。

キャラクターが大根なのは、大根おろしが好きだから。ただのおっさんですが、ちょっと役に立つブログを目指しています。

【行政処分の実例】日本郵便に運送事業許可取消しの処分!その理由と法的根拠とは?

日本郵便は、ドライバーに対する点呼(健康状態や飲酒の有無の確認)を、全国の多くの拠点で適切に行っていなかったことが発覚しました。
さらに、点呼を実施していないにもかかわらず「実施した」と記録する虚偽記載も横行。これにより、貨物自動車運送事業法第22条・第29条等に違反しているとされました。

国土交通省は2025年4月に特別監査を実施。その結果、全国規模での組織的な違反が確認され、最も重い処分である「運送事業許可の取消し」が通知されました。対象は約2,500台の配送車両で、許可取り消し後は5年間の再取得も認められません。

現在、日本郵便には弁明の機会が与えられていますが、報道では「処分を受け入れる方針」とされています。処分が正式に下されれば、全国の物流や郵便サービスにも大きな影響が出ると見られています。

1. 事件の概要:なぜ日本郵便は行政処分を受けるのか?

(処分の基準)
第十二条 行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。
2 行政庁は、処分基準を定めるに当たっては、不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。

処分基準を見てみましょう

日本郵便は、貨物自動車運送事業法に基づく点呼の不適切な実施が原因で行政処分を受けます。

貨物自動車運送事業法第22条(運行の安全の確保)

貨物自動車運送事業者は、運転者の乗務前および乗務後に点呼を行い、運転者の健康状態や飲酒の有無を確認するなど、運行の安全を確保しなければならない。

処分基準は努力義務

できる限り具体的に!

合格には絶対に覚える必要がありますよー


日本郵便は、ドライバーへの点呼やアルコールチェックを行わずに運行させていました。
しかも、やっていない点呼を「実施した」として記録するなど、虚偽の書類も作成。
こうした違反が全国規模で続いていたため、運送事業の許可が取り消されることになりました。

  • 問題の発端:兵庫県での点呼不備を契機に、全国の郵便局で約75%に法令違反が判明
  • 違反内容:貨物自動車運送事業法に基づく運転者の健康状態・酒気帯び確認などの点呼義務違反
  • 組織的問題:点呼不履行の常態化、法令遵守体制の不備


2. 行政手続法による処分手続きの流れ

● 行政手続法に基づく基本原則

  • 第12条(理由の提示)
     > 「不利益処分をする場合、処分の理由を相手方に提示しなければならない。」

これは先ほど説明しましたね

  • 第13条(聴聞または弁明の機会)
     処分前に「聴聞」または「意見提出の機会」を与えなければならない。

(不利益処分をしようとする場合の手続)
第十三条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない
一 次のいずれかに該当するとき 聴聞
イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。

不利益処分を行うときには、「聴聞」を行わなければなりません!

● 今回の事案での適用

  • 報道では「処分を受け入れる方針」のため聴聞は実施されない見通し

不利益処分の際には「聴聞」が行われるのですが、日本郵便は反論をしないことにより、処分を受け入れるようです。

「聴聞はしなくていいよー」って言ったのですね!

「聴聞」は義務ですが、例外が設けられていますので確認しましょう。

2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五 当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。
(不利益処分の理由の提示)
第十四条 行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
2 行政庁は、前項ただし書の場合においては、当該名あて人の所在が判明しなくなったときその他処分後において理由を示すことが困難な事情があるときを除き、処分後相当の期間内に、同項の理由を示さなければならない。
3 不利益処分を書面でするときは、前二項の理由は、書面により示さなければならない。

この条文では聴聞を省略するような文言はありません
このたびの事件では、日本郵便が聴聞を行わなくても良いと意思表示したことで省かれたようです。

例外はあるんだなー、ってくらいに覚えると良いと思います。


今回の日本郵便に対する処分は、大手企業に対する異例の厳しい対応として注目されています。
今後、聴聞手続の結果をふまえた正式な処分が出される見込みですが、
処分が確定すれば、物流や郵便インフラに大きな影響が出る可能性は避けられません。

行政書士試験の受験生としては、
このような事例を通して「処分基準」「理由の提示」「聴聞手続」など、
行政手続法の運用実態を理解しておくことが重要です。


合格するための行政法の勉強方法について

行政法は条文の理解が絶対に必要だと思います!!

わたくしの経験上、行政法を極めることが最も「行政書士試験合格」に近づく条件だと思います。

もちろんそれは点数配分の多さにあります!!

行政法をおろそかにすると合格の確率は大きく下がります!

そして、行政法は条文の少なさから、「どの条文から出てもおかしくない」のです!

では、どのように行政法の条文を理解すればよいのか?

私のが実際に利用していたのはこの動画です。

【見逃し配信】行政法を読む【行政手続法】まとめ編!〈作業用BGM!?〉【行政書士への道#330 福澤繁樹・五十嵐康光】≪行政書士試験におけるポイント解説付き≫【フォーサイト】行政書士への道

条文を読み聞かせることによって、基礎から覚えることができます。
もちろん、何度も繰り返し視聴しないと意味がありません。

すきま時間で何度も視聴して覚えることが大事です!

おかげで五十嵐康光さんがとっても好きになりました!

五十嵐康光さんについて

フォーサイト行政書士講座の専任講師・五十嵐康光(いがらし・やすみつ)さんは、行政書士試験の受験指導に特化したプロ講師です。

YouTubeチャンネル「行政書士への道」では、行政法・民法を中心に、過去問の解説や重要ポイントを毎週水・日曜の朝7時に配信中。聞き流しで学べる動画もあり、忙しい社会人やスキマ時間学習にもぴったりです。

フォーサイトのeラーニングと連動した学習アドバイスや、X(旧Twitter)でのリアルタイム情報発信も好評。
丁寧で実践的な解説が、多くの受験生の心強い味方になっています。

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