野良猫にエサをあげるのは違法ではないが、もちろんリスクはある。あと、あなたが住んでいる地域の条例にも気を付けて!

行政書士基本情報

野良猫にエサをあげるのは違法ではないが、もちろんリスクはある。あと、あなたが住んでいる地域の条例にも気を付けて!

昨今の「猫」ブーム。様々な猫動画が目に入ってきます。

私も「猫を飼いたい!でも飼えない」と言う方が多いと思われます。

そんな時、ついつい野良猫を触りたくなってしまいませんか?

そして、エサをあげたくなりませんか?

日本の「法律」では、野良猫への「エサやり」は違法ではない。

「動物の愛護及び管理に関する法律」、動物愛護法と言われているものが、その法律に当たります。

その法律の中では「飼い主のいない猫に餌をあたえてはいけない」という文言はありません

よって、野良猫に餌を与えても、違法にはなりません

しかし、野良猫にエサを与えることによって、様々な問題が発生したり、リスクを負うことになるかもしれません。

この記事を書いている人

だいこんおろし
だいこんおろし

40代の普通のサラリーマンです。

行政書士試験を令和4年記述抜き182点で合格。

自分の気になる法律を調べて、わかりやすく解説しています。

登録していないので、行政書士ではありませんが、記事の内容に自信はあります!

野良猫への「エサやり」の法的なリスク

野良猫への餌付けは、法律上違法ではありませんが、その他の法令にてリスクが考えられますので、それを紹介します。

条例で制限されている場合がある。

法律では規制されていませんが、条例で規制されている場合が多いです。

主な都市の条例を確認してみます。

簡単に言うと、条例とは、県や市などが作った法令で、法律とは別に規制を設けることができるものです。

札幌市 札幌市動物の愛護及び管理に関する条例

(飼い主のいない猫に繰り返し餌を与える者の遵守事項)
第13条 飼い主のいない猫に繰り返し餌を与える者は、周辺の生活環境を保
全し、及び当該猫が増えないために必要な措置を講じ、人に迷惑を及ぼすこ
とがないよう努めなければならない

札幌市では、飼い主のいない猫に餌を与えるときは、清潔に行い、繁殖しないようにしたり、他人の迷惑にならないように、行うことを努力しなければいけません。

自分の所有する敷地内で、対象の猫に去勢手術等を行い、周囲に気を配りながら、餌付けしてくださいってことですね。

「~よう努めなければならない。」と、なっていますので、市民に対しては、罰則等の無い「努力義務」が課せられます。

努力義務」で最近よく聞くのは「自転車のヘルメット着用の努力義務」がありますね。

長崎市 長崎市動物の愛護及び管理に関する条例

(飼い主のいない動物に給餌等を行う者の遵守事項)
第11条 飼い主のいない動物に給餌又は給水(以下「給餌等」という。)を行う者は、周辺の生活環境に支障が生じるような給餌等を行ってはならない。
2 飼い主のいない猫に給餌等を行う者は、給餌等を行うことができる猫、給餌等の方法その他の市長が別に定める基準を遵守しなければならない。

長崎市の条例では、札幌よりも厳しい規制が課せられています。

餌やりを禁止はしていませんが、条件があるようです。周辺の生活環境に支障を生じさせないことは札幌の条例でも触れていますが。長崎市の条例では、エサやりができる基準を設けているようです。
そして、その基準が細かく定められているものになっています。

長崎市で、飼い主のいない猫に餌を与えるための、市長が定める基準

飼い主のいない猫への給餌等に関する要綱 
令和5年6月12日(以後、内容が変更になる場合もあります)

○給餌者が給餌等を行う猫は、次に掲げるものとする。
ア 不妊去勢手術を受けた猫
イ 不妊去勢手術を受けさせる予定の猫
ウ 適正な飼育環境の下に置くため、保護又は譲渡することを予定している猫

○給餌等の方法は、次のとおりとする。
ア 給餌等を行う時間を決めて行うこと。
イ 給餌場所は、給餌者の自宅又は給餌者が正当な権原に基づき給餌等を行う場所であって、周辺住民に迷惑のかからない適切な場所とすること。

ウ 餌は、猫が食べきれるだけの量を容器に入れて与えること。
エ 置き餌はしないこと。
オ 給餌等の後は、使用した容器を速やかに回収し、食べ残しがある場合は処理すること。

○ふん尿等を次のとおり適切に処理すること。
ア ふん尿、毛その他の汚物は、適切に処理し、腐敗及び飛散を防止すること。
イ 猫が排せつする環境を整え、排せつ物を除去し、適切に処理すること。

の基準を遵守して給餌等を行う者は、飼い主のいない猫への給餌等届出済証の貸与を受けることができる。

基準を守らずに、「エサやり」をしても、罰則規定はないようですが、「努力義務」とも取れない文言で書かれています。

また、「給餌等を行う者は、飼い主のいない猫への給餌等届出済証の貸与を受けることができる」と、あるので、長崎市で野良猫にエサを与える場合は・・・

  • 餌をあげる猫に去勢手術を受けさせる
  • 自宅の敷地内で、決まった時間に餌をやる
  • 糞尿をきれいに掃除する
  • 食べ残しを掃除する
  • 許可証を表示する

長崎市のルールでは、「許可証」の表示を求められています。しかも、細かい届出を書面にて行わなければいけません。
これらを行って、ようやく正しい野良猫への「エサやり」ができるのです。

ですが、罰則はありません!

札幌市も長崎市でも、罰則規定は無いようです。

でも、ルールを示されているのであれば、守るべきですね。

近所の住人のためにもルールを守りましょう。

罰則規定のある、和歌山県!

○和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例

(自己の所有する猫以外の猫に給餌等を行う者の遵守事項)

第14条 自己の所有する猫以外の猫に対し、継続的に又は反復して給餌等(所有者の許可を受けて行うものを除く。次項において同じ。)を行う者は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

野良猫にエサを与える方法についての基準は、他の自治体と同じような基準なのですが、

第23条 知事は、第10条第1項又は第14条第1項の規定に違反した者に対し、期限を定めて、違反を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる
2 知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

飼い主のいない猫に餌を与えるときのルールを守らなかったら、必要な措置を取るべきことを勧告されます!
更に、その勧告を無視した場合、措置をとるべきことを命ぜられます

(罰則)

第26条

4 第23条第2項の規定による命令に違反した者は、5万円以下の過料に処する。

命令に応じなかった場合には「5万円以下の過料」が徴収されます。

エサやりのルールを無視していると、県から指導や勧告が行われ、それを無視すると命令が行われ、それに従わない場合に「5万円以下の過料」が課せられます!

条例は、その土地の問題を反映しやすいのです。

和歌山県では、野良猫へのエサやりが問題になっているのでしょうか?

まとめ

野良猫への餌付けは、法律では規制されていません。

各自治体の条例で、ルールが設けられています。
そのルールも自治体によって様々です。条例の文言も様々ですので、法令のとらえ方も少しずつ変わっているかもしれません。
定期的な餌付けをする場合には、十分にルールを確認してから行いましょう

場合によっては、お金を徴収される可能性もあります。

最後に

猫に値付けをすることは、動物愛護観点でも素晴らしいことだと思います。

しかし、むやみに餌付けを行い、許容を超える繁殖をしてしまった場合、一番かわいそうな存在は、「生まれてくる子猫」です。

自分自身で責任を持つことができない、「野良猫へのエサやり」はルールを守って行いましょう。

継続して餌を与えなければ、条例の対象外としているところもあります。

ちゅーるを1回くらい与えることはセーフかも…




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