東池袋自動車暴走死傷事故、プリウスミサイルの飯塚幸三さんは本当に上級国民として扱われていたのか?自動車運転処罰法を調べてみました。

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東池袋自動車暴走死傷事故、プリウスミサイルの飯塚幸三さんは、なぜ上級国民として扱われていたのか?自動車運転処罰法を調べてみました。

2019年(平成31年)4月19日に東京都豊島区東池袋四丁目で発生した交通事故。

この事故では、歩行者・自転車らが次々とはねられ、計11人が死傷した(母子2人が死亡、同乗していた飯塚の妻を含む9人が負傷)

この交通事故で、加害者の飯塚幸三さんは「上級国民」と呼ばれることになった、理由が気になったので法的に調べてみました。

この記事を書いています「自己紹介」

私がこの記事を書きました。

令和4年行政書士試験、記述抜き182点で合格

現在もサラリーマンをしながら、法律の学習をしています。

行政書士ではありません。ただの法律好きなので、この記事の内容に責任は持てませんが、自信はあります。

現行犯逮捕されなかったり、メディアやマスコミが「容疑者」と報道しなかったから。

一般人と違う取り扱いがあったため「上級国民」と揶揄されるようになった模様

逮捕されなかった理由

死亡交通事故の逮捕要件は、その交通事故の「行為態様の悪質さと、被害結果の大きさ」とのことです。アトム弁護士事務所様HPより

事故の行為態様の悪質さと、被害結果の大きさでは現行犯逮捕に十分な要件でしたが、「逃亡や証拠隠滅の恐れがない」ため、現行犯逮捕されなったようです。

また、「(飯塚を逮捕すると)身柄拘束・取り調べに耐えられない」と判断されたため逮捕され馬買ったようです。(Wikiより

拝見した感じでは、逃亡などの恐れはないと思いますね。

でも、証拠隠滅や裏工作はできたかもしれませんね。

当時、飯塚幸三さんは87歳、逮捕されないんですね。

マスコミが容疑者扱いしなかったから。「容疑者扱い」しなかった理由。

マスコミなどが、飯塚幸三さんを「容疑者」として報道しなかったことが。上級国民と呼ばれる原因にもなりました。

なぜ、「容疑者」報道しなかったのか?それは、高齢や治療のために事情聴取ができず、書類送検もされなかったため「飯塚容疑者」と、報道しなかったようです。

実際に、逮捕後や書類送検後に「容疑者」と報道したマスコミが多くありました。

間違いなく、飯塚幸三さんが死亡事故を起こしたことが明白なのですから、

「容疑者」と扱っても問題が無いように感じます。

禁固5年は軽いのか?自動車運転処罰法を調べてみました

2021年、飯塚さんは禁固5年の刑を言い渡され、控訴せずに刑が確定しました。

「刑が軽い」ことで、「上級国民」と揶揄されている面も考えられます。

この事故で、禁固5年は軽い刑なのか調べてみました。

自動車運転処罰法を調べる

過失による死亡交通事故のほとんどは、「自動車運転処罰法」が適用されます。

正式名称は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」です。

軽微な違反などは、道路交通法が適用されると思いますが、他人を死傷させた場合は、特別法の「自動車運転処罰法」が適用されることが多いと思います。

過失運転致死傷

自動車運転処罰法には以下の罰則条文があります。

(過失運転致死傷)

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

「自動車の運転上必要な注意を怠り」交通事故を発生させ、他人を死傷させたときに適用になります。

実際に、飯塚さんはこの条文が適用され、禁固5年の刑に処されています

十分に注意して運転すれば、事故が起きる可能性も少ないし、この法律が適用されることもないんでしょう。安全運転が大事です。

危険運転致死傷

これがめちゃくちゃ大事な条文です。難しいですが全部表示します。

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為

 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為

 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為

 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為

 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。

 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。

危険運転致死傷は懲役15年までになる

過失運転致死傷では7年以下の懲役又は禁固刑だが、危険運転致死傷では「十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役」になります。

ちなみに、「一年以上の有期懲役」の最長懲役は20年ですので、傷害で15年・死亡させた場合は20年までの懲役が科せられる可能性があります。

危険運転致死傷の要件

上記の条文で赤い太字で表したのが要件です。

  • アルコール又は薬物
  • 制御することが困難な高速度
  • 技能を有しない
  • 妨害する目的
  • 信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度
  • 運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるも

※ちなみに、運転に支障を及ぼす病気は、

  • てんかん
  • 再発性の失神
  • 無自覚性の低血糖症
  • そううつ病
  • 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害
  • 脳血管疾患,アルツハイマーなどの認知症など
  • アルコール,麻薬,大麻,あへん又は覚せい剤の中毒者

を疾患と持つもので、病気を自覚しながら治療をしなかったりした場合に適用されるようです。

飯塚幸三さんは、危険運転致死傷の要件に該当しなかったため、禁固5年で済んだ模様です。

本当に危険運転致死傷が適応されないのか?

  • アルコール又は薬物→アルコールや薬物の使用は無い
  • 制御することが困難な高速度→時速53キロから加速を行い、衝突時には時速96キロまで出ていたが、時速53キロが「制御がすることが困難」とは言えず、何らかの原因で加速したため要件を満たさず
  • 技能を有しない→医師からは「パーキンソン病の疑い」が、あるため「運転を許可しない」と言われていた。医師が許可してはいないが、行政が許可しなかったわけではない
  • 妨害する目的→特になし
  • 信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度→特になし
  • 運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるも→「パーキンソン病の疑い」、「パーキンソン病」とは診断されていない

以上のことから、危険運転致死を適用されなかったようです。

まとめ

飯塚幸三さんは、事故発生後の容体が悪く、逃亡や証拠隠滅の恐れがなかったために逮捕されなかった

飯塚幸三さんは、逮捕されなかったために、「容疑者」と扱われなかった。しかし、加害は明らかなので、「容疑者」と扱っても良かったのではないか?

飯塚幸三さんは、「パーキンソン病の疑い」で医者に運転を止められていたにすぎないので、危険運転致死を適用されなかった。

飯塚幸三さんが、過失を認めないにもかかわらず、禁固5年の実刑を言い渡したしました。

検察も裁判所も、現行の法律の中で、できる限りの求刑と判決を行ったように感じます。

不服を感じる方も多いでしょうが、これ以上は法律を変えていくしかないように思います。

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